前ふり
今年のブログ、4月まではPC-9801RAとDO+を使えるようにして、X68k EXPERTのSASIポートを修理して、Apple IIcを使えるようにしてWizardryで遊び、8001用にPCGもどきボードを作ってNew City Heroで遊び、MZ-1500のQDを修理、QDのケース作ってディスクシステムのメディアを再利用してロポコで遊び……と順調なレトロPCライフだったわけですが、そこで活動停止orz
何をしていたかと言えば、京都芸術大学に入ってリモート講義を受けてただけなんですが、一切の活動がピタリと止まるくらいには忙しく真面目に勉強してました。
京都芸術大学
もともとは瓜生山学園 京都造形芸術大学と呼ばれていたところで、略称は瓜芸。オンラインに力を入れて勢力拡大の中、京都芸術大学と改名。もともと存在した京都市立芸術大学(略称:京都芸大)と名前で揉め、略す場合は瓜芸と呼ぶことになってる。最近はあちこちに広告出してるし、オタク向けなコースが沢山あるので名前は知ってるという人も多そう。
自分が通ってるのは文化コンテンツ創造学科 映像コース。フジテレビが全面協力して設立されたコースで、自分は一期生。ぶっちゃけ一期生という響きが良かったので選びました。学費は年間40万円弱で、すでに大学出てる場合は三年次編入ができ、きっちり単位を収めれば芸術学士が取得できます。40万円が高いか安いかは個人の価値観で違うかとは思いますが、今どきの子育てにかかるお金と比べたら鼻くそレベルです。これで学割でAdobe CC使ったりiPadやmac mini買ったり、DAWのあれこれやVDMXを買ったりしてると、割引だけで元がとれちゃう。提携してるDMM英会話も3ヶ月毎日30分マンツーマンで1万円ぽっきりです。
講義の内容に関してはかなり良いです。少なくともコースの担当者たちは、それぞれの分野の第一人者ばかり。日本のテレビや映画の歴史を作ってきた、今まさに作ってるような人達が教えてくれます。これぞオンラインの醍醐味ですね。スケールするから講師にお金かけられる。たとえば第一期生は400人以上いるらしいし、学部共通科目とか受けるとレポート提出者は毎回1000人近くになる。私立の大学だとそういう話も聞くけど、東大ではせいぜい数十人規模の講義しか受けた事なかったから、これは凄いカルチャーショック。
どんな講義を受けてる?
ほんとに映像の何から何まで(広く浅くではあるけど)教えてくれる感じで、例えば必修でとった単位はこんな内容。
- 映像I-1 映像学入門
- 映像I-2 企画の方程式
- 映像II-1 映像制作概論1(ミュージックビデオ・広告)
- 映像II-2 映像制作概論2(エンターテイメント・コメディ)
- 映像III-1 シナリオライティング論
- 映像講義1 コンテンツビジネス論
- 映像講義2 映像と向き合う
- 映像基礎1 映像思考概論1
- 映像演習I-1 企画のつくり方
- 映像演習I-2 技術を知る(撮影・照明)
- 映像基礎2 映像思考概論2
- 映像演習II-1 シナリオライティング演習
- 映像演習II-2 技術を知る(編集・サウンド)
- 映像演習III-1 アイデアをデザインする
- 映像演習III-2 技術を知る(モーショングラフィックスと応用)
- 映像IV-1 映像制作概論3(ドラマ・映画) - 講義受講済み、作品制作中
- 映像IV-2 映像制作概論4(アニメーション) - 講義受講済み、作品制作中
- 映像V-1 社会を変える企画 - 講義受講済み、作品制作中
- 映像V-2 映像制作概論5(ノンフィクション)
- 映像V-3 映像制作概論6(メディアとアート)
- 芸術理論1 東洋の芸術理論
- 芸術史講義(日本)1 日本の造形芸術の成立から平安時代、鎌倉時代までの展開
- 芸術史講義(日本)2 日本の造形芸術の近世および近代の絵画・工芸
- 芸術史講義(アジア)1 中国の古代から明清時代に至るまでの芸術史
- 芸術史講義(近現代)1 20世紀初頭から21世紀まで、特に欧米での造形芸術の流れ
- 文化研究3 写真、映画、TVなどの映像文化の起源と、現在の文化に及ぼす影響
学習時間
だいたい科目あたり30〜100時間くらい時間を使い、3年次編入だと62単位が卒業要件。1年半で単位を揃えて、最後の半年が卒業制作です。
科目は3タイプあります。
1) TRと呼ばれる自習型科目。テキストを読んで1000文字前後のレポートと、同じく1000文字くらいのオンラインの試験を受けます。オンライン試験は基本的には小論文。ただ、事前に課題候補が何個か提示され、試験ではその中のいくつか、あるいは近いテーマが提示されて、それを1時間以内に小論文にまとめて提出します。時間以内で書き上げるには下調べが必要なので、結局は候補全て、つまりはテキスト全域について軽くまとめ上げる事が要求されます。レポートに10時間、試験準備に20時間、それ以外にテキスト読んでメモとる時間が必要なので30〜50時間くらい使ってる気がします。
2) TWと呼ばれる作品提出型科目。参考資料を元に作品を作って提出することになってますが、映像コースは参考資料が全て講義映像になってます。なので30〜60分くらいの映像が15本。それを一時停止や見直ししながらノートとるだけで20時間くらいは必要。そこから決められたテーマで作品を作るわけだけど、ここが進むにつれて高度な内容になっていくので、最初は10時間くらいで済んでいたけど、現状では50時間とか使ってる。
3) WSと呼ばれる講義型科目。これは講義映像で、やはり30〜60分くらいの映像で15回なので同様に20時間くらい。レポートを出して講評会があるんだけど、映像コースの場合はレポートも作品提出に近くて、企画書だったりシナリオプロットだったり、はたまは普通に絵を描いたりなどなど。やっぱり数十時間は平気でもってかれます。共通科目の芸術史とかは普通にレポートだけど、追加で文献調べてプチ研究っぽい事を求められることもあり、やっぱり一番重いタイプな気がします。
と考えるとまぁ、講義ごとに大作RPGを遊ぶくらいの時間になるので、それは他の事に使う時間もなくなるなぁ……という。
4学期制
春・夏・秋・冬の4学期があります。毎学期開講される講義も少しはありますが、だいたいは1つ起きの年2回開講が多いです。春・夏、または秋・冬って感じで、春に取り逃がしたら半年後の秋を待たなければならない。講義ごとに依存関係があって、Aの単位をとらないとBの講義が開放されるに受講できない、みたいな制約があるので、のんびりしてると講義とれずに時間ばかり過ぎると思います。実際、半分くらいの人はほぼ単位とれずにいるようです。今、このブログを書いてる時点では、1年目の春・夏・秋が終わったところです。
各学期は3ヶ月ありますが、この3ヶ月も緻密にデザインされてて、締め切りに追われていればどんどん勝手に単位が取れてくはず(なんだけど、万人がその波に乗れるわけではないのねぇ……)。例えば春では4月にTR科目とTW科目の締め切りがあり、5月にはTW科目の2度目の締め切りとWS科目の締め切りがあります。TWは重たい課題も多いので、真の締め切り一発だと間に合わない人が続出なんだと思います(笑)そして6月にTR課題の試験。浅い理解になりがちな自習レポート科目を時間を開けて復習させるのは良くできてます。試験後はWSの講評くらいで少し時間に余裕ができるので、ここで裏技的に半年後に受ける予定の講義を先に見たり、次の期に受けたいTR講義のテキストを読んだりしておくのがおすすめです。本当はテスト終わったらすぐに次の期の講義が受けられるようになれば良いのですが……締切は基本的に上旬なので、ひと月目のTRとか講義開放から10日くらいしかなくて締め切りタイトなんですよ。
成績
成績評価はかなり厳しいです。毎度「こいつは完璧だぜ」って思って提出しても80点そこそこ。90点越えたのとか1回しかない。優秀作例として講評会で紹介されても80点台だったりも。
最初の説明会で「B(70点台)はそうとう良い成績なので、がっかりしないでください」みたいな事を言っていて「???」って思ってたんだけど、要はワケアリっぽいです。例えば、400人いるうち40人しか提出できてない状況で1%にしか出せない成績を出すのは難しいんじゃないかな……とか。芸術史系とか話を聞いてると1000人とかいても90点以上のSが出るのは数人。採点も減点法で、講師の想定したチェック項目がたくさんあって、外すとガリガリ減点されてくので、高得点狙おうとするとかなり深読みした忖度と運が必要になってくる。あまり点数は気にしない方が良いのかも。
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