政治・経済
1月に続けて池上さんの知らないと恥をかく世界の大問題シリーズ2、3。やっぱり面白い。一部では分かりやすく説明するために、無理やり身近な出来事に比喩してる部分もあって、そこまでは必要無いんじゃないかなぁ、とも思える部分はあった。重要なトピックはシリーズ中にも繰り返し出てくるのでわりと記憶に残ります。しかし、世界ってのは全然平和なんかじゃないんだな、と実感します。あと、ギリシャ問題とか見るとゴールドマンサックスがいかに酷い会社なのかわかる。
続けて藤沢数希さんの2冊。この著者、経済の本は読んでいて手応えがあったので、試しに別の分野も読んでみた。まずは反原発の不都合な真実。やはり文章が面白く、理系ということもありデータがしっかりしていて読んでいて安心。例の震災であれだけの事故を起こしたとは言え、冷静に分析すれば他のエネルギーよりも何桁も安全ですよ、という主張。池上さんの本の内容とも被ってくるんだけど、石油の購入ってのは思っている以上に血生臭い話で。採掘に関して人が死にまくってるのもそうなんですが、普通に米軍の第五艦隊の牽制あっての取り引きなんですね。そもそも原発にしたって、それを持つ事自体が軍事的な牽制の意味合いもあったりする。エネルギーって政治なしには語れないのですね。現実的な解になりうる選択としてはメタンハイドレートあたりに期待できるのかもしれませんけど、環境には優しくないですからね。それに近隣諸国との火種にもなりかねない。クリーンなエネルギーとしては地熱とか日本に持ってこいだとは思うんですが。まぁ、原子力村からの圧力はあるのかも。外資系金融の終わりはまぁ、読み物として。どういう仕組みで自分の給料が決まるのか、改めて冷静な視点から考えられるかも。決して実力に比例するものじゃないんですね。
最後は会社が消えた日。これはもう日本のメーカーに残っている人は絶対に読んでおくべき本。ゴールドマンサックスによって会社が食い荒らされていく様子がまざまざと。この本読んだ後だとRolandのMBO問題なんかもちょっと見方かわってくるなぁ。まぁ、家族経営でダメな経営してたという事実は否定しようがないみたいだけど。あと井植会長の話で、日本は仕組み的に創業者が資本家になる事が難しい。だから会社に同族経営としてしがみつくしかないんだ、という話は当事者の話としては説得力があった。あとは会社内の見苦しい潰し合いとか。サラリーマン上がりで経営に参加させてくと、どこも似たり寄ったりだなぁ、と思いました。残念。
という事で、なんかバラバラに読んでた本が、なんとなく線で繋がるようになってきた気がする。
SF
ここのところ小説は1巻だけ流し読みってパタンが多かったんだけど、珍しくシリーズを追って読み進めてます。巻によってまったく違う内容・文体だったりして著者の多彩な才能に驚きました。特に1巻上下読んでから2巻に移った時は、本を間違えたかと思ったくらい。ファンタジーな舞台からいきなり現代の東京に舞台が変わり、軽い男の話から突然パンデミックについての生々しい話に。共通となるのは主人公が医師という点だけ。と言っても、そこがシリーズの歴史を紐解く上でキーワードになるわけで。最後の方になってようやく2巻が物語の始まりを描いたものだとわかります。3巻はまた1巻のノリに戻って。女装の美少年を中心としたアンチオックスの話。で4巻はまるっきりの官能小説(笑)。ハニカム創世記です。電車で読むのはちょっと気が引けた。
読み物
ホリエモンの刑務所なう。A3とこれを読めば刑務所の面会の様子は双方の視点からなんとなくわかるようになる(笑)。しかし、刑務所の経営改善とか、医療の経営改善以上に起こりそうにない事だよなぁ。
せいめいのはなしは分子生物学の専門家である福岡伸一先生が、各方面の知識人と対談し、それをまとめた本。忙しい人は最後の章にまとめがあります。養老先生との昆虫談話が一番記憶に残っているかな。動的平衡とか擬態とか、進化論とかいう単純な言葉では割り切れない味わい深さが生命にはあって面白いな、と思いました。福岡先生のほうは、またどこかで読もうと思います。たぶん動的平衡の本あたり。
喪失と再起の物語は東北の震災を機に書かれた日本人に関する論説。読んで改めて僕らは第二次大戦とその後の戦後復興について何も知らされていないんだな、と思いました。なんとなく現代史は大学受験の中でもうやむやにされちゃうんですよね。もしかしたら意図的なカリキュラムなのかな。戦後復興とか日本人が頑張ったというよりは当時のトップがひねり出した奇策がGHQの裏をかいて功をそうしたみたいな感じに思える。一方で経産省はこの時の成功体験を根拠に自分たちのコントロールで高度経済成長をもう一度、とか思ってるのかな。黒船対策とかは一消費者としても本当にやめてほしいと思う。もはや日本の製造業は農業と同じ感じで。本当に守るべきなの?というところまで来てしまった感はある。
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