2010年3月30日火曜日

思考の整理学 (1)

電車通勤をやめてからすっかり本を読まなくなりました。
積まれていた本の中から1冊だけ鞄に入れてたんですが、今日は少しだけ読む機会があったので、読んだところを少しだけメモ(続き読むが先になるかもだし)。

という事で、表題の通り、外山滋比古さんの思考の整理学。
整理学とかいうタイトルだけど、特に考える事に関して体系化した書物というわけではないですね。「思考」に関する様々な角度からのエッセイを、どちらかと言えばごちゃっとまとめた感じ?

「グライダー」:グライダーと飛行機。詰め込み型教育の産物、自力で前へ進む事のできない人たちをグライダーに例えて批評。「自分で翔べない人間はコンピューターに仕事をうばわれる。」1986にまとめられた本にしては刺激的な台詞で締めくくられているけど、2010年になった今日、状況はどんなもんだろう? 就職難と人材不足の共存状態は、予言が的中した結果とも思えるけど、実際には大企業はまだまだグライダー人間に支配されている気はするなぁ。
続く「不幸な逆説」で述べられている、教える事を渋る事による飛行機人間の育成、という考え方は面白い。伝統芸能などで見られる教えない文化。師の業を盗もうと努力するところから学ぶ姿勢、意欲、独創性などが生まれるのではないか、という仮説。

「朝飯前」:まさに自分が修論の時期に実践していた事。一日のうち頭が働くのは起きた直後の数時間。ここまでは大学の仲間うちでも周知の事実だった。なので、一日を12時間ずつにわければ、頭が働く時間も二倍になるだろう、と。3時間寝て9時間作業〜みたいな生活だったと思う。普通に仕事して、論文も書いて、さらにバンド活動・・・となると、こうでもして時間を稼ぐほかなかった。凄い勢いで時間が過ぎていくようで、カレンダーは半分しか進まないという不思議な感覚で、実際に生産性もかなり上がった気がしました。
自分がやってた事と同じ事を筆者がしていると知って嬉しくなり、それがblogに書き留めようと思ったきっかけでもあるわけですが。さらに筆者は、朝飯を抜けば、さらにこの朝飯前の時間を長くとれる・・・と、なんだか子供じみた事まで(笑。偉い先生がこういう事を実践している、というのは生々しく、結局は努力なんだ、と思うと、なんだか救われた気持ちになります。努力でどうにでもなる世界、つまるところそれが究極の平等社会なんですけどね。民主党政権しかり、どうも日本は変な方向に向かいつつあります。

アマゾンでも誰かがレビューに書いてましたが、アイデアについてのエッセイでのべている事はジェームス W.ヤングの本に書かれている事と同じですね。学生の頃に読んで意識、実践してきたけど、アイデアが生まれるプロセスに関してこの本の解析はかなり正しい。色々な人が共感している事からも万人にとって真なんだと思う。うまくやれば凡人でも非凡のフリができる。。。はず。



#そういえば、内閣府調査の一環で面接がありました。大学院教育はどうあるべきか、というテーマで議論したのですが、つまるところ調査の趣旨は「ゆとり教育は失策だった。その分、大学院教育でフォローして、なんとか社会で使える人間に仕上げる体制を作りたい。」という事だそうです。大学、大学院の進学率が伸びていますが、今まで12年で身になっていた事を16年、18年じっくりかけて教えているだけ。こういう状況にあって、自分の子供にどう学ぶ事を教えていくべきか、非常にむずかしい問題だと感じています。未だ脳の衰えを感じる事はありませんが、知識に関しては若ければ若いほど吸収が早く、使える技術になり易いのは事実でしょう。