2024年2月28日水曜日

X68000 EXPERT SASIポートの修理

昨年にX68000 修理にて復活!という投稿をしました。

電源をATX電源化、電池はケース化したうえで交換、VRAMが1つ故障していたので交換したところまでが修理の内容でした。ハードディスクはXVIを使って吸い出したもののEXPERTのSASIポートではうまく動作しないままでした。今回はその残るSASIポートの修理についてのメモです。

SASIポート周りについてはOutside X68000付属の初代機の回路図が参考になります。各ポートの制御はIX0909というカスタムチップが1つ鎮座しており、ソフトに見えるレジスタはおそらくその中に入っています。SASIはハードでは制御らしい制御はなく、このカスタムがレジスタアクセスに応じて直接SASIバスの信号を出し入れし、その外にある回路はバッファ程度なので、壊れるとしたらカスタムかバッファに使われているロジックIC、後者なら交換で簡単に直せるはずです。

初代機とEXPERTではカスタムチップの型番とピン配置が少し違います。ロジックICも使っているピンが違ったりはするのですが、基本的には同じ構成です。データバスは74LS642で出し受けしており、双方向バッファの方向は外から入ってくるI/Oで決まりますが、開放時は出力方向になっています。制御信号のうち入力は74LS19がシュミットトリガーで受け、出力は74LS38でオープンコレクタ。すべての信号がロジックの内側は5V、外側は約3Vで動いており、抵抗で分圧したうえでpull-upされてます。

場所的には底面基板に各種IOやFM音源がいます。CPU側のメイン基板から来てるケーブルにバスが全部載っており、電源側の基板からは電源と各ポートの入出力が繋がってます。Sと書かれた2本線がサウンド出力で内蔵スピーカーに向かっているようです。

投稿でカスタムと642の場所を説明してますが、さらに38は642の右に2つ並んでる38のうち左側のものがSASIとカスタムの間にあるやつです。今回は642にあたりを付けて交換しましたが、制御がおかしい場合にはこの38を交換する必要があるかもしれません。他にはアレイ抵抗が壊れてショートしていないかなども注意した方が良いと思いますが、底面基板なので電源入れて直接電圧を確認するのは難しいです。もし怪しいと思ったら、外に出てるSASIポートの電圧で確認するのが良いと思います。

データバスに関してはソフトでレジスタ叩いて出力の変化を見るのが良いかもしれません。

カスタムは出力中でもピンの電位を読み出せるようです。つまり、書いた後に読んだ値が実際にカスタムと642の間のデータバスの電位になります。ここで値がおかしいようなら642が外向きになっていなかったり、バッファが死んで常にGNDやVCCに張り付いているような状況が疑われます。一部張り付いているなら642を、全部張り付いてるなら38から入ってるI/Oを疑うのが良いかもしれません。またこの値は反転した形でSASIのデータバスに出ますから、ポートの電圧を測る事で642経由で期待通りの信号が出てるか確認できます。bitの値が0なら約3V、1なら約0Vですね。

今回は交換するまでは良かったんですが、交換時にソケット化したせいでICの位置が高くなってしまいシールドに接触するという大失態を侵しました。場所的にまさにシールドが出っ張っている位置なので要注意です。C1とか81あたりしか書けなかったら同じことをやらかしてる可能性大(笑)

という事でSASIポートが直ったのでSxSIを使ってBlueSCSIを接続するわけですが、それはまた別のエントリで詳しく書こうと思います。

ちなみにSASIのバスを3Vで駆動しているけど、これは何もバスが3V論理だという事ではないようです。SCSIの仕様書をみると5Vも許容範囲ですし、EXPERTや初代の回路的にも5Vを受けられるように設計されてます。3Vでpull-upしているのはターミネーターの推奨値だからかな?初代機の抵抗値はSCSIリファレンスの分圧でターミネートする時の推奨値でした。EXPERTはもう少し小さい値で近い比率で分圧してたように思います(具体的な数字はメモしてなくて忘れてしまった)。

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